相続人に未成年者がいる場合の遺産分割協議

相続案件の受託は、どなたかが亡くなった…という事実が前提です。

相続人は身近な人が亡くなった喪失感の中で、日々色々な手続きに奔走されるわけで、司法書士はその一部をお手伝いさせて頂くことになります。

相続人に未成年者がいるケース…とりわけご両親のいずれかを亡くされた場合の相続手続きは、本当に居たたまれない気持ちになります。

 

未成年者において、本来ならば親権者(父親か母親)がその代理をし、法律行為を行います。

しかし、父や母が、未成年者である子供との間で、互いに利益が相反する場合は、子供に「特別代理人」を選任する必要があります。

 

例えば、父が亡くなり、母と未成年者の子供で遺産分割協議を要する場合。

母は相続人の立場でありながら、子供の親権者として分割協議に参加するとなると、実質、母一人で好きに遺産分割を行うことが可能です。

こういったことを避けるために、特別代理人を選任し、未成年者の子供の代理人として、母と遺産分割協議を行います。

 

 

そういうわけで、相続人に未成年者がいる案件では、まず特別代理人の候補者を探して頂くことになります。

一般的には、おじ・おば・祖父母にお願いすることが多いです。

特別代理人なんて、気が重い…と思われる方もいるかもしれませんが、基本的には「遺産分割協議のため」に選任するので、相続手続きが終わりさえすれば、特別代理人の任務は終了します。

また、裁判所で尋問されるようなことはないので、ご安心下さい。

引き受けて下さる方がいない場合には、弁護士や司法書士といった専門家に依頼することも可能です。

 

特別代理人候補者が見付かったら、未成年者の住所地を管轄している家庭裁判所に、特別代理人選任申立を行います。

申立には、戸籍等の相続関係資料の他、相続財産に関する資料と、遺産分割協議書案を添付します。

申立から概ね1ヵ月程で、特別代理人が選任されますので、その後、正式な遺産分割協議書を作成して、具体的な相続手続きに入ります。

 

 

さて、特別代理人選任申立で問題になってくるのが「遺産分割協議書案」に裁判所がNOと言ってくるケースです。

特別代理人が必要な相続では、多くの場合、主な相続財産は不動産のみで、父または母である親が単独で相続を望みます。

以前のブログ(こちら)でご紹介したように、相続財産が不動産だけのケースでは、相続人全員の共有にする方がデメリットが大きいのです。

しかし裁判所が、それでは子供の利益が守られていない!と判断することがあるのです。

 

配偶者に先立たれ、残された配偶者としては、これから一人で子供を養育しなければならないし、未成年者と不動産を共有したところで、管理維持は実質親一人で行うわけです。

ゆくゆくは、不動産を担保に学資ローンを組んだり、売却することもあるでしょう。

「子供の利益」というのであれば、もう少し柔軟に考えて欲しいものです。

 

弊所は川崎市にありますので、ご依頼者も川崎市在住の方が多いです。

管轄は横浜家庭裁判所川崎支部になりますが、当該裁判所では、比較的柔軟に対応して下さることが多い印象です。

預貯金等の財産が多い場合は綿密な計算が必要ですが、財産が不動産しかない場合、親の単独相続でも、遺産分割協議書案をはねられたことはありませんでした。

一方、他の家庭裁判所では、同様のケースでもストップがかかることが何度もあり、協議書案を慎重に作成する必要があります。

特別代理人選任や協議書の内容については、個々の案件で異なってきますので、是非一度専門家にご相談の上、手続されることをおすすめします。

 

尚、相続手続きにおいて、特別代理人の選任が必要なのは、遺産分割協議をする場合であって、法定相続分で相続する場合には必要ありません。

その場合は、親権者である父・母が、未成年の子供の代理人として相続手続きが可能です。