相続のご相談でたまにあるのが、法定相続分で分けなければいけないと誤解されているケースです。
シンプルな例をあげると、被相続人・配偶者・子供2人の家族の場合、法定相続分は、配偶者が2分の1・子供が各々4分の1ずつとなります。
この「子供」は実子に限らず、養子であっても実子と同等の法定相続分があります。
また、非嫡出児・・・婚姻関係にない男女間の子供・・・であっても、平成25年9月4日以降に亡くなった方の相続では、実子と同等の法定相続分があります。
それ以前の相続では基本的に、非嫡出児は、嫡出児(婚姻関係にある父母のもとに生まれた子供)の半分の法定相続分しかありません。
これは、平成25年9月4日に、非嫡出児の法定相続分を嫡出児の2分の1とする民法の規定を、最高裁判所が違憲であると判断したためです。
(相続の進捗状況にもよりますので、詳細をご希望の方は個別にお問合せ下さい)
この「法定相続分」は、あくまで民法上の取り分なので、相続人間で合意があれば自由に変えられます。
配偶者が全て相続し、子は相続なし・・・ということも可能です。
例えば、相続財産が自宅しかない場合。
配偶者・子供二人の相続人で法定相続どおりに相続すると、不動産の所有者は
【配偶者(持分2分の1)・子供A(持分4分の1)・子供B(持分4分の1)】
となります。
ごくごく、自然の摂理どおりに相続が発生すれば、配偶者が子供より先に亡くなるはずです。
しかし稀に、子供が先に亡くなるケースもあります。
例えば子供Aが結婚し、子供が二人生まれ、親より先に亡くなってしまった場合。
これまた法定相続どおりに相続すると、所有者は
【配偶者(持分2分の1)・子供B(持分4分の1)・子供Aの妻(持分8分の1)・子供Aの子a(持分16分の1)・子供Aの子b(持分16分の1】
となります。
所有者が5人になるわけです。
所有者が多いと、不動産を売ったり、担保に入れる場合、手続きが非常に煩雑化します。
まず、全員が売却なりに同意しなければ不可能です。
所有者全員の実印の押印と署名、印鑑証明書が必須になります。
登記識別情報は、相続人毎に発行されるので、土地建物合わせると、合計で10通の登記識別情報の管理が必要です。
決済日や契約日の日程調整や、本人確認の手続きもしなければなりません。
いざその場面になり、これは大変・・・と気付いて、所有者のうちの一人に持分を集約しよう!と考える方もいらっしゃいます。
その場合「贈与」か家族間で「売買」といった手続きが必要になりますから、贈与税やら不動産売買に関する税金の心配が出てきます。
所有者を変更するための登記を入れるには「登録免許税」もかかります。
ご自宅しか相続財産がないケースでは、シンプルに1名で相続した方が、基本的には後々の手続きが楽なのです。
法定相続どおりに相続しない場合は、遺産分割協議を相続人全員で行います。
全員合意に達することができたら、遺産分割協議書を作成します。
そうは言っても、自分だけ相続して、他の相続人に取り分がないなんて・・・と思われるケースもあるかと思います。
その場合は、他の相続人に「代償金」を支払う【代償分割】もあります。
代償分割をするには、どういった手続きが必要なのか、遺産分割協議の方法については、次回詳しくお話しします。
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各ブログテーマも事例などを交えているので、わかりやすいかもしれません。ご覧いただければと思います。