法定後見申立の流れ

後見人の世話をするケアマネジャー

成年後見制度は2000年に制定されました。

身近に利用者がいなくとも、何となく漠然と、どんな制度かご存知の方が多いと思います。

(制度については、業務の案内→成年後見制度とは?をご覧下さい)

 

 

後見人・保佐人・補助人いずれの場合でも、裁判所に申立をして選任して貰う必要があります。

申立ができるのは、本人・配偶者・四親等以内の親族などです。

本人が申立できる状態になく、ご家族や四親等以内の親族がいらっしゃらないケースでは、市町村長が申立てるケースもあります。

申し立てを弁護士、司法書士などにご依頼頂くこともできます。

 

身近に利用者がいなくとも、ニュースや新聞などで漠然とどんな制度かご存知の方が多いと思います。

 

(制度については、業務の案内→成年後見制度とは?をご覧下さい)

 

 

 

申立が必要な状況は様々ですが、今回は申立から選任までの流れをご説明したいと思います。

 

~面談・申立準備・後見人候補者の推薦~

ケアマネジャーとケアプランについて無料相談する高齢者

まず最初の面談時に、現況とご本人の状態をヒアリングします。

ご家族の主観として、保佐相当じゃないかしら…といったお考えはあるかと思いますが、申立には医師の診断が必要です。

そこで、まず第一に、医師の診断書を取ってきて頂きます。

診断書は、裁判所指定の書式がありますので、弊所でご準備したものをお渡し致します。

 

この診断書には、「後見程度」「保佐程度」「補助程度」というチェックボックスが記載されているので、医師の所見に従って申立を行います。

※ただし、後日裁判所の鑑定によっては、判定が異なることもあります。

 

申立書は、司法書士が書面作成者として作成が可能ですが、ご家族にご協力頂くことも多々あります。

 

①財産目録・収支予定表作成のための資料集め

例えば、ご本人が不動産を所有していれば、その情報が必要です。

他に株式や投資信託・銀行口座などがある場合は、通帳のコピーも提出します。

収支予定表の作成には、生活費(施設費用等)が年間幾らほどかかるのか、収入があるのかの資料が必要です。

ただ、状況によっては、ご本人の財産関係が全く不明というケースもあります。

その場合は、後見人等が選任されてから、職権で調査して財産状況を整理するので、ご安心下さい。

 

②親族の同意書

裁判所の書式があります。

ごくごく簡単な書面ですので、難しいことはありません。

基本的には、法定相続人の皆さまにご記入頂きたいのですが、中には拒否される方もいらっしゃいます。

そういった方には、別途裁判所から問合せがいきますので、全員分揃わなくても申立は不可能ではありません。

 

 この他、戸籍謄本等必要な書類がありますが、弊所でお手配可能です。

 

また、後見人の候補者がいる場合には、候補者の情報を書面にまとめる必要があります。

後見人候補者は、申立人(ご本人以外、配偶者もしくは四親等以内の親族の場合)・申立人以外の親族や知人・全くの第三者…の3パターン考えられます。

第三者の場合は、例えば弁護士・司法書士のほか、社会福祉士など、ご本人の状況に合った方を裁判所が選任します。

 

尚、候補者を立てて申立をしても、裁判所の判断によっては、希望どおりにいかない可能性もあります。

自分(申立人)が後見人になる!と申立をしても、第三者が後見人になることもあり、その場合不服申立はできませんし、後見申立自体をとりやめることもできません。

地理的・物理的に遠い方や、家族間のトラブルが疑われる方、親族の同意書が揃わない方などは第三者が選任になる可能性が高い傾向にあるようです。(基準は公開されていませんのであくまで傾向です)

 

これらの申立準備が全て揃いましたら、ご本人の住所地を管轄する家庭裁判所に申立書を提出します。

 

 

~申立・受理面接・鑑定~

申立書を提出して一週間程過ぎると、家庭裁判所より受理面接についての連絡があります。

(資料追加の指示がある場合もあります。)

いくつか候補日をあげて貰えますが、平日となります。

受理面接は、申立人・本人・後見人候補者で受けますが、本人については体調によって欠席も考慮して貰えます。

書面作成者として司法書士も同行致します。

 

受理面接では、申立書の内容について質問があります。

難しいことを聞かれたりはしないので、ご安心下さい。

受理面接後、稀に、裁判所からもう一度鑑定をするよう指示があります。

申立時に医師の診断書は添付していますが、指示があった場合は、再度鑑定が必要となります。

 

 

~審判~

申立から概ね二ヶ月程で、後見(保佐・補助)人が選任されます。

審判の結果は郵送で届きます。

後見人のもとへご挨拶に行き、順次資料等を引継ぎします。

 

死後事務委任契約と財産管理を司法書士に依頼するイメージ

以上が、後見(保佐・補助)人選任までの流れです。

申立については、様々な書面が必要となりますが、受理面接からは比較的スムーズに進むことが多いです。

 

後見人については、高齢化の急速な進展の中、有効に使える制度でもあります。

 

判断能力が低下している方の財産を処分する際には、必須となる可能性もある手続きです。

 

現状で法定後見を申し立てる理由としては、認知症の方が相続人にいるケースで遺産分割協議のために…というのと、施設の入所に当たって契約があるから…など、ある種仕方なく後見制度を利用する、といったケースが多いように感じます。

 

不安な点がある方は、是非一度専門家にご相談下さい。

 

 

参考ブログ  → 後見制度が高齢者を守るかもしれない

 

 

各記事など参考になれば幸いです。

 

車いすで散歩する要介護の高齢者