ウイルスに罹患!その状態で遺言を作れる?

ダイヤモンドプリンセス号から新型コロナウイルスに備えた遺言を考える

コロナウイルスに罹患、遺言を残したいが・・・

新型コロナの感染が世界的に広まっております。日本国内においても各所が対応に追われています。既往症がある方や、高齢者の方の感染は死亡のリスクが高いので注意を払っている方も多いと思います。

コロナウイルスに罹患されて亡くなられた方々の冥福をお祈りすると共に、患者さんたちの早い回復と、感染拡大の早い収束を願っております。

 

 

さて、猛威を振るっている感染症や伝染病に関しては、どんなに注意を払っていても罹患する可能性はあり、生命の危機に瀕することはあり得ます。

 

以前のブログ・特別方式の遺言【危急時遺言】でも記したように、緊急で遺言書を作成する方法があります。コロナウイルスのように急速に流行した感染症などでも、当てはまるものがあるので改めてご紹介したいと思います。

 

目次

 

1. 「伝染病隔離者の遺言」「在船者の遺言」「船舶遭難者の遺言」という特別な遺言

 

2. 新型コロナに当てはめると?ダイヤモンドプリンセス号の場合は?

 

3. 緊急で作成した遺言を有効にするために

 

4. まとめ

 

 

 

1.~死亡に瀕した時・隔離された時の特別な遺言

 

危急時遺言、隔絶地遺言(伝染病隔離者遺言在船者遺言)、船舶遭難者遺言があり、読んで字のごとく、です。

 

危急時遺言に関しては病気や大怪我などで死期迫る危急の状況において作ることができます。かすり傷や風邪などではダメですが、特段医師の診断(余命宣告なども)が必要、というわけではありません。

 

隔絶地遺言に関しては、移動制限や交通遮断、都市閉鎖などで隔絶された場合、緊急時に遺言を作成できるというもの。伝染病隔離者遺言と在船者遺言があてはまります。

 

船舶遭難者遺言は、船舶の遭難という事態を想定して決められた遺言形式になります。

 

どのルールもルーツを追えば、一昔前の結核等で隔離されている方への対応や、船舶の遭難事故が多かった時代に作られたものです。それぞれの遺言形式の事例はかなり少ないようです。

 

 

2.~新型コロナウイルスとダイヤモンドプリンセス号に当てはめた場合

 

 

洋上待機で在船者遺言を作ることを考えてみる

 

新型コロナウイルスに関わってくる、緊急時の遺言の形式としては、危急時遺言については、入院中に重篤な状態であり、万が一に備えて、ということで対応することができます。都市閉鎖、移動制限や、隔離された場合などには伝染病隔離者遺言が、今回のような感染の拡大時に当てはまる可能性もあります。若干種類の異なる扱いのそれぞれ遺言を書く際に必要な『人』、について要件があるので注意が必要です。

 

そして、ダイヤモンドプリンセス号のような洋上での待機というケースだと、在船者遺言/船舶隔絶地遺言の形式を当てはめることができます。船舶の中に居るケースに認められる遺言の形式で、感染に限らず遺言を残すことが出来る形式です。

 

 

3.~それぞれの遺言を有効にするための要件

 

危急時遺言:例えばコロナウイルスに罹患して入院中などで、死に瀕した時に有効な形式においては

死亡の危機が迫っている緊急事態にのみ作成

・4親等内の親族、利害関係者・未成年者など以外で3人の証人

・遺言を口頭で聞き、書面に筆記し、3人の証人で内容を共有し、署名・押印

・20日以内に家庭裁判所に提出・確認

 

伝染病隔離者遺言:隔離された時に有効な形式においては

・警察官1人の立ち合い

・証人1人以上4親等内の親族、利害関係者・未成年者など以外で

・遺言書は遺言者が作成

・遺言者・筆者・警察官・証人が署名・押印

※家庭裁判所での提出・確認は不要

 

在船者遺言/船舶隔絶地遺言の形式:ダイヤモンドプリンセス号のような船舶の中で書く場合

・船長または事務員1人及び証人2人以上の立会いが必要
・遺言書は遺言者が作成する
・遺言者、筆者、立会人及び証人が署名、押印

※家庭裁判所への提出・確認は不要

 

それぞれ、遺言者が生命の危機からの回復、隔離の終了、下船など、普通方式の遺言書を書けるようになった時から6カ月経過、生存しているときには無効となります。

特別方式の遺言についてはあくまで緊急対応となっているため、6カ月の有効期限がついているイメージです。

 

 

4.まとめ

 

緊急時に対応する遺言の形式があることはお分かりいただけたでしょうか?

緊急の時にこういった手続きを間違いなく進めるのは知識がないと難易度は高いと思います。

 

万が一について、知っておく、考えておくというのもご家族のためを思うと大切です。また、こういった知識や情報がどこかで約に立てば幸いです。

 

 

ブログテーマ → 遺言 についても参照いただければと思います。

 

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