相続における限定承認・・聞いたことあるけどメリットはあるの?

プラスの分だけ相続すると言うと良さそうな限定承認ですが実際のところどうなのか

相続が発生した時に、相続するかしないか、単純承認と相続放棄と、限定承認という選択を迫られることがあります。

 

当事務所でも過去のブログで事例として、相続放棄に関連したブログを書いており、相続放棄については当該ブログをご覧いただくとご理解いただけると思います。

参照:相続する?相続放棄する?  借金などのマイナスの財産の相続を回避する方法_相続放棄について解説

 

ネットで色々調べてみても、「キーワードは良く出てくるけどよくわからない」という方が多い限定承認という選択肢について、解説していきたいと思います。

 

  1. 限定承認って何?

  2.  限定承認を考えた方が良いケース

  3.  限定承認のメリット、デメリット

  4.  限定承認の費用相場は?

  5.  まとめ

1.限定承認ってなに?

 

相続発生時の選択肢として、あまりメジャーではない選択肢の一つに、限定承認と言うものがあります。

そもそも、限定承認とはどういった仕組みなのか理解しておく必要があります。

 

限定承認はプラスの財産=不動産や預貯金 と マイナスの財産=借金、ローンなどの負債、どちらが多いか分からない場合でも、プラスの財産マイナスの財産プラスの差額が出た分だけもらえると言う、法律上の制度です。マイナスになる(借金などの方が多い)場合には何も受け取らない代わりに借金などを負わずに済ませられる、という貰う面に限定した相続の承認のようなイメージです。

 

 

2. 限定承認を考えた方が良いケース

 

相続する財産のプラスとマイナスが分からない時、調査をして(もしくは調査を依頼して)プラスであれば貰いたい、とお考えの方は良いかもしれません。

 

 

3.限定承認のメリット、デメリット

 

メリットとしては、借金の相続を回避できる、プラスの分の財産だけを相続できるという、使い勝手の良い制度に見えるという面があります。

 

デメリットとしては、手続きが面倒・煩雑なところです。そしてこのデメリットが小さくありません・・

まず、相続人のうち一人でも反対した場合、限定承認を行う事は出来ません。

反対がなかった場合には、家庭裁判所にて限定承認手続きを行った後、5日以内に相続債権者等に対して官報で「限定承認したことと一定期間内(二ヶ月以上)に請求の申し出をするように」(被相続人=故人に対してお金などを貸した人は申し出てくださ~いと呼びかけるイメージ)といった公告を行う必要があり、既に判明している債権者等(銀行やキャッシングサービス、借用書の存在する個人など)には個別に知らせなくてはいけません。そして、請求を主張してきた債権者に対して支払い(返済)を行い、現金、預金が少ない場合には不動産を競売に出して現金化した上で支払わなくてはいけません。

限定承認を行った場合、被相続人が相続人に対して、相続財産を時価で譲渡したものとみなし、住宅の売却などで相続に関する各種軽減措置を利用する事ができず、多額の税金を納税する可能性が出てます。

 

ご自身で手続きをできない場合には、専門家に依頼することも出来ますが、上記のような手続きの複雑さ、競売など発生時の各士業や不動産業者との連携の発生、難易度の高さなどから依頼費用が高額になるケースが多いのもデメリットになるかもしれません。

 

 

不動産権利証と電卓とメモ

4.限定承認の費用の相場は?

 

ご自身で手続きをした際にも絶対に必要となる実費部分として、収入印紙・郵送費用・戸籍/除籍謄本などの取得費用の実費、そして官報公告費用30,000円~50,000円(地域によって異なる)があります。

 

手続きに当り、司法書士、または弁護士に限定承認の手続きを依頼した場合には、おおよその費用として着手金・・・20~40万円程度、成功報酬金として残余財産の10%前後+実費というのが相場として多いようです。

 

当事務所においての費用については資産状況をお伺いした上で、個別の見積もり案件となります。

ケースによっては単純相続をお勧めする場合もありますので、ご理解頂きたいところです。

 

 

5.まとめ

 

制度の概要を見る限りは良さそうに見える限定承認であっても、相続手続きとして各種選択肢を検討される場合、上記の問題点などを十分に考慮頂きたいところです。

実際のところ、限定承認は使い勝手が悪く、実際に利用されるケースは多くはありません。実際の家庭裁判所への申立て件数は毎年700件前後となっているようです。

 

専門家への相談は、各種メリット、デメリットと、各御家庭の状況などを踏まえて適切なアドバイスができるという面があります。

当事務所では初回相談無料です。

当事務所ではウェブ面談の実施も受け付けております。しかしそれでも、大事なお話は会ってお話ししたいというお声も頂戴しているので感染症予防に最大限の対策を施しての事務所面談も行っております。

お気軽にお問い合わせいただければと思います。 

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