配偶者亡き後の年金生活
相続のご依頼に関連して良く頂く質問として、
「主人が亡くなって、私の年金ってどうなるのでしょうか?」
と言うのがあります。
ご高齢で一人暮らしとなり、今後の生活を自分一人の年金で賄っていけるものなのか?生活の見直しをしなくてはいけないのかなど、不安に思うのは当然ですよね。
今回は例として当事務所に相談に来られる世代の一般的な事例として、
老齢厚生年金と老齢基礎年金を受給していたご主人が高齢で他界し
奥様の受け取れる年金はどうなるのか? について
簡単に解説して行きたいと思います。
※詳細な各個人の年金の権利・支給要件・請求手続きなどは加入期間でかなり複雑なケースもあるので年金事務所・年金相談センター・区役所などで各自ご確認下さい。
夫婦の年金額の概算
高齢なご夫婦での一例(ご主人が会社員・奥様が長期間主婦)
ご主人の年金(例) 基礎年金 780,900円 + 厚生年金 :1,200,000円
妻の年金 (例) 基礎年金 780,900円 のみ
基礎年金・厚生年金、ともに65歳から受給していたとして、毎年改定があり、プラスマイナス数千~数万円の範囲で変わりますので金額は参考であり概算です。
妻の年金は、年金制度の複数回の改正により、生年月日による取り扱いの違いがあったり、未納期間が存在するケースも多く、長期間主婦だった方の場合には50万円前後の年金額しかない、というケースもお聞きすることもあります。
上記のケースであれば、
ご主人が 年額約200万円、 妻が約78万円 となり、夫婦合算で 年金額約278万円という事になります。
年金額がご夫婦でおおよそ278万円ですから、月にならすと、23万円/月となりますので、老後の生活資金としては個別の事情で感覚は違うとしても、一般的に過不足は無い感じに見えます。
(夫婦2人の老後の最低日常生活費は月額22.1万円、ゆとりある老後生活費は月額36.1万円:生命保険文化センタトップページ>調査活動>生活保障に関する調査参照)
支払う税金や掛かって来る医療費用などを踏まえ、老後2000万円問題などと言われることもあり、預貯金やご自宅などの資産と併せて、年金額と生活支出について把握をされるのが良いでしょう。
ご主人亡き後の年金
ご主人が先に他界する前提と言うのは、一般に男性の平均寿命が81歳、女性の平均寿命が87歳であるという統計と共に、過去の婚姻年齢などのデータから比較的男性の方が年齢が上で結婚されるのが多いという数字もあるので、事例として男性が先にお亡くなりになるケースでご説明していきます。
年金の受給額に関しても、ご相談頂く多くのケースで現在80歳前後の方の場合、男性がお勤めだった、奥様が主婦というケースが多いので補足とさせて頂きます。
ご主人がお亡くなりになってしまうと、ご主人が受け取っていた老齢基礎年金、老齢厚生年金を受け取ることが出来なくってしまいます。
お亡くなりになった時点での妻の年齢や、お子様の年齢(18未満など)によって、遺族基礎年金、遺族厚生年金などが支給されます。
当事務所にご相談頂く多くのケースでは、お子様が自立しているケースが多く、対象となる年金は遺族厚生年金のみとなる方が多いです。
遺族厚生年金については、ご主人が貰っていた厚生年金の4分の3が妻に支給されることになり、上記高齢なご夫婦の一例からすると
ご主人の厚生年金 1,200,000円 × 4分の3 = 900,000円 が妻に支給される事となります。
妻の年金 (例) 基礎年金 780,900円 + 遺贈厚生年金 900,000円
上記のようになるので、妻の受けられる年金額は1,680,900円 ≒ 約170万円
ご主人がお亡くなりになってしまうと、年金額としては100万円ほど減ってしまう事になります。
一人暮らしのため、食費・光熱費などの生活費は幾分かは下がることになりますが、お一人になられた時に終活プランを再考し、老後破産とならないための収入・支出の見直しなどに取り組まれるのが良いかと思います。
相続登記は忘れずに、お早めに
年金額の詳細については年金事務所・年金相談センター・区役所の年金課などでご確認頂き、ご自身の年金額が合計で幾らになるかをまずご確認頂き、預貯金や不動産の相続のバランスなども考慮し財産の分割をされるとベターです。
数年経ち、預金の残高が減少してからだと、手続きに費用が掛かることに抵抗感も生まれてしまうかもしれません。
単身で年齢を重ねると、認知症のリスクも高まります。忘れてしまったり、認知症で手続きが出来なくなってしまう事も考えられ、そうなると、次の世代へとスムーズに相続がし難くなってしまう事もあります。
遺産分割の方向性が決まりましたら、専門家に依頼し、遅滞なく相続登記の手続、預貯金の払い出しの手続きなどを進めていくことをおすすめ致します。
※詳細な各個人の年金の適用・請求権・支給額など、要件など生年月日や加入期間でかなり複雑なケースもあるので年金事務所・年金相談センター・区役所などで各自ご確認下さい。
関連記事