登記は義務ではありません②…購入時のみ張り切って登記する不思議

前回(こちら)の続きです。

そもそも登記とは何か?から、登記事項証明書について解説しました。

今回は、具体的に例をあげて、登記の役割について。

 

Aさんが所有している土地aを、Bさんに売ったとします。

けれどもBさんは、登記は義務ではないし、登記費用が勿体無いと考え、登記はしませんでした。

Aさんは後日、Cさんに対しても、土地aを買わないかと持ちかけました。

Cさんは、所有者をAさんからCさんに変更するための登記(所有権移転登記)を申請して、無事に完了しました。

 

こういうケースの場合、Bさんは先に土地を買ったにも関わらず、Cさんに対して土地の所有権は自分にあると主張できません。

登記事項証明書の権利部甲区に、所有者として記載されているのは、Cさんの名前です。

Cさんは、登記をしたことで、Bさんに対して土地の所有を主張することができるのです。

 

 

 では、相続登記の場合はどうなるか。

例えば亡くなった父親の自宅について、登記は義務ではありませんから、相続登記はしなかったとします。

登記しなくても、亡くなった父親の自宅に住むことはできます。

固定資産税は、相続登記をしてもしなくても、請求がくるので払わなければなりません。

相続税も同様です。

 

売買の例と違うのは、相続に関しては、原則的に登記しなくても第三者に対して権利を主張することができるのです。

 

但し、厄介なことに、相続人が自分一人でなければ、その自宅の土地・建物は相続人全員の共有状態になります。

例え自分一人で住んでいたとしても、自宅は自分のものではないわけです。

そして、時間がたてばたつほど、相続人間の関係も変化し、手続きが難しくなります。

 

よくご相談頂くのは、相続人の一人が亡くなって、その配偶者や子供と協議が進まない…という問題や、相続人が行方不明になってしまった・海外赴任していて印鑑証明書が発行できない、といったケースです。

 

 

 そうして煩雑化した相続手続きを放置した結果、前回のブログ冒頭でお話ししたように「不動産の相続手続未了問題」が発生しているわけです。

所有者不明の土地総面積は、九州全体に匹敵するそうです。

 

 

 

さて、少し意地の悪いお話しを。

 

司法書士は不動産の売買において、決済の場に立ち会います。

事前に登記事項証明書を確認し、権利証(登記識別情報)や印鑑証明書といった必要書類を確認し、決済にGOを出す大事な役割です。

決済の場は色々なドラマがあるのですが、念願のマイホームを手に入れた買主さんは、嬉々として参加されます。

ご家族皆さんでいらっしゃる方もいて、そういった幸せそうなお姿が見れるのは、司法書士冥利につきます。

買主さんは進んで登記手続きをされるのです。

登記をしなくても、購入して引渡しを受ければ、マイホームに住むことは可能なのですけれどね。

 

揉めに揉めて、どうにも相続手続きが進まないケースもあるのは確かですが…

どうして相続手続きには積極的になれないのか、ちょっと不思議に思うのです。