平成27年(2015年)に施行された相続税法の改正は、そのインパクトが大きく当初は報道で取り上げられたものの、あまりその後ニュースであまり取り上げられてはいないように感じます。相続税の対象となる基礎控除額が引き下げられたことで、都内だけでなく、近隣の都市部に土地・自宅・実家があるというだけで相続税が課税される可能性が高まりました。
今回のブログでは改正後の数字の変化をグラフと供に確認して頂ければと思います。
まず、1.被相続人数:課税対象被相続人の推移、下のグラフのように、平成27年を境に課税対象となる方が倍近くに増えています。
新型コロナウイルス感染症の影響により売上が大幅に減少している、川崎市内中小企業の小売業、宿泊・飲食業、建設業、生活関連サービス・娯楽業、その他の業種における消費を促し、市内循環を図ることで、早期の経済回復を目的とした地元応援券に、当事務所も事業所として参画することとなりました。
相続が発生した時に、相続するかしないか、単純承認と相続放棄と、限定承認という選択を迫られることがあります。
当事務所でも過去のブログで事例として、相続放棄に関連したブログを書いており、相続放棄については当該ブログをご覧いただくとご理解いただけると思います。
参照:相続する?相続放棄する? / 借金などのマイナスの財産の相続を回避する方法_相続放棄について解説
ネットで色々調べてみても、「キーワードは良く出てくるけどよくわからない」という方が多い限定承認という選択肢について、解説していきたいと思います。
身近な人、大切な人、生涯を共にしたパートナーが亡くなった時、悲しむ間もなく、進めなければならない手続きがございます。
時間の経過と供に気持ちが落ち着いて、冷静になって気持ちを持ち直しても、『何から手をつけた物か・・・』と途方に暮れてしまうこともあるかもしれません。
現在の日本の縦割り行政では、死亡の届け出をしても、連動して各種手続きが終わるということはありません。国としても、死亡や相続に関する手続きは生涯で何度も発生するわけではなく、不慣れな手続きで手続き漏れや必要書類の不備が多く、問題視されているとのこと。生前情報のデジタル化を進め、死亡・相続ワンストップサービスの推進を国が主導しようとしておりますが、まだまだ、というのが正直なところです。
郵送で各種書類を取り寄せたり、手続きや申請もネットで一部できるようになってきていますが、自治体や各省ごとの管轄でフォーマットが違ったり、データの流用が出来なかったり、使い勝手がよくなかったりするなど、老若男女問わず誰でも簡単に・・・というのには程遠いかもしれません。
現状では各種相続手続きは郵送・ネットと各役所を回るというのを組み合わせて進める方が多いようです。
民法の改正に伴い、遺言書の保管制度という物が2020年7月からスタートいたしました。
参考:遺言書の保管等に関する省令・政令が策定され令和2年7月10日施行
遺言書を書くことに少しでも興味を持ってもらえればと思い、当事務所でもポスターを掲示しております。
先日の専門家会議の提言で、コロナウイルスとの付き合いが長丁場になることに備えて『新しい生活様式』に切り替える必要があるとしていくつかの提言がありました。
マスクの着用やソーシャルディスタンスはすでに多くの施設で実践されております。
公共施設、金融機関や小売店のレジなどではビニールカーテンなどの遮蔽物の設置も進んでおり、当事務所でも面談スペースには飛沫感染防止のためにアクリル板のスクリーンを設置しております。
今後のWithコロナ時代のスタンダードとなりえるものとして、お客様のご理解とご協力を賜りたいと思います。
新型コロナウイルス(covid-19)の感染者が増加している中、遠隔対応はできませんか?とのお声が増えてきています。
当事務所では以前から、初回相談無料ということで各種法律相談などを承っています。基本的には面会してわかりやすい相談を心がけています。
電話やZOOM、Skype、FaceTime、Chatworkなどでの相談をお受けすることは可能です。
ただ、どうしても対面で行わないといけないことや、書類への署名押印などのやり取りが必要なものもあります。
具体的には、身分証明書の提示などでご本人であることを確認しなくてはいけないことがある、ご説明をしてサインを頂くものもある、ということをご理解いただきたいと思います。
公証役場にて遺言を残す場合やその他の手続きなどでも、絶対にテレビ電話やメールでのやり取りでは認められない契約に関わるものなどがあります。残念ながら日本的な商習慣として、世界に比して遅れている部分かもしれませんが、こればかりは仕方ありません。オンラインでの手続きは緩和されて増えてきていますが、土地の権利や財産などの扱いはある程度厳格に取り扱われている、とご理解を頂きたいです。
とはいうものの、さすがに外出自粛要請が行われ、Stay Home=おうちに居よう、と国を挙げて大々的に言われています。
当事務所でも、本来は訪問してお届けしたり、面前でご説明しなければいけない部分を、お客様のご了承を頂きながら、郵送にてやり取りをさせて頂いております。
遺言書は法律的には満15歳以上であれば書くことが出来る、というのは法律で決まっています。
遺言書の作成に当たって、未成年であっても保護者の同意は必要なく、形式をしっかりと満たしていれば本人の意思や意向をしっかりと反映した遺言書を単独で作ることもできます。
むしろ、親御さんなどの法定代理人であっても、子供の代理人として遺言を作成することもできないルールとなっています。
さて、遺言書を作成するのは満15歳以上であれば誰でも作れるといっても、みんなが作っているわけではありません。一般的には60歳を超えるあたりで遺言について考え始めるケースが多いと思いますが、相続の手続きや遺言の執行の現場を見てきた中で、やはり、適したタイミングというのがあるとは思います。
そのタイミングは3つ
1.相続関係が変わるとき
2.財産状況が大きく変わるとき
3.思い立ったとき
それぞれのタイミングについて、解説していきたいと思います。
1.相続関係が変わるとき
・いわゆる婚姻関係の変化、子供が産まれるというのが当てはまります。
2019年1月に、自筆証書遺言に関するルールが変わりました。
法務省のホームページにも自筆証書遺言の方式の緩和との記載があります。
『老い支度』/『終活』をする方、それに関わるご家族なども、何がどのように変わるのか、きちんと把握しておいて損はありません。今回はその改正について、注意点と共にブログにまとめていきます。
遺言書の別紙で作成する相続財産の全部又は一部の目録(以下「財産目録」)の部分のみ、自筆でなくとも良い⇒ワープロ・パソコンなどでの入力・印刷でもOKということになりました。改正前の平成31年1月13日前に作成された印刷の物は無条件で無効です。
財産目録に関しては、細かく『誰に』 『何を』と指定したい場合などでその件数が多い場合など、自筆による負担を減らすということで、自筆証書遺言の一部が緩和されました。高齢な方が多数の不動産や預貯金の目録を自筆で記入する負担や、誤記のリスクを少なくするなどのメリットがあります。
財産目録の書式については指定されたものはなく、ワードでもエクセルでも箇条書きのようなものでも問題はありません。そして、財産目録の書面にはそれぞれ署名捺印が必要であり、複数枚ある場合にはすべてに署名捺印を、裏表ある場合には両面に署名捺印が必要となります。一部でも不備があると無効になってしまいます。
遺言書全文に関しては手書きであること・日付があること・署名押印があることの要件を満たさねばならないのは今までと変わりません。付随する資料に当たる部分=財産目録の作成は簡単になったと言えるでしょう。
・・ただ、遺言の作成のお手伝いであったり、自筆で書いた遺言が見つかったケースに立ち会うことも多いですが、手書き・日付・署名捺印の3つの要件は満たしていても、内容の問題や不備によって有用にならないケースも多いのが現状です。そこに改正のメリットに対しての注意点があります。
気持ちや趣旨は伝わるものであっても、財産の分割や意向に沿った相続においては、事細かく正確な記載が必要であり、お身内の方だけが分かるような記載では無効となってしまいます。
参考:不動産は妻に、預貯金は息子に、だけ の記載などは意向は伝わるのですが、遺言としては有効でない場合があります。
そして目録だけが個別で作られたようにも見えるため、目録が遺言書と一体性があることを明らかにする面での配慮なども必要になってきます。
今回の改正で自筆での遺言作成へのハードルは多少なりとも下がったと言えます。
ですが、故人の財産と遺志を正確に遺族にお届けするのに
遺言は公証役場で公正証書にすべき であることに変わりはありません。
費用は掛かりますが、司法書士、公証人関与のもと作成する方法であるため、最も確実な遺言書です。
遺言の書き方について、ご相談も受付しております。自筆遺言の書き方についてや、所有する資産やご家族の状況などに応じてアドバイスもさせていただいております。
2020年7月にも法改正があり自筆証書遺言の保管制度が始まっております。ブログにまとめているので参照いただければと思います。
→ 遺言書を保管する新しい制度が「遺言の保管問題」を解決するかもしれません
興味をお持ちであれば、専門家にお早めのご相談・検討をお願いします。
ブログテーマ → 遺言
過去の記事も参照いただければと思います。
土地や建物の所有者になった後、引っ越しで住所が変わったり、氏名が変わったりすることがあると思います。
市町村役場で手続きをすることで、住民票や戸籍の記載は変更されますが、登記の記載は自動的に連動して変更されません。
登記の記載を新しい住所や氏名に変更するには、法務局に変更登記を申請する必要があります。
ただ、登記事項というのは実生活において、影響を受ける機会があまりありません。
例えば、不動産を売る・抵当権を設定または抹消するといった際、現住所と登記事項に記載してある住所が異なる場合は、必ず変更登記をしなくてはなりません。
けれども、そういった状況にならない限り、住所(氏名)変更登記をしなくても、所有にあたって支障がないのです。
では、必要に迫られるまで住所(氏名)変更登記をしなくて良いかと聞かれると、司法書士としては「しなくて良いです」とは言えません。
とりわけ住所が変わった時は、スムーズに変更登記をして頂いた方が、後々面倒がありません。
住所が変わるケースとして、引っ越し・行政による区政施行や住居表示実施があります。
住居表示実施による住所変更の場合、書類は市町村役場が交付してくれ、登録免許税も不要です。
区政実施にいたっては、そもそも変更登記が不要な場合もあります。
問題となるのは、単純に引っ越しによる住所変更です。
特に注意が必要なのは、転勤等で各地を転々をしている方。
住所変更の登記には、いつ・どこへ引っ越したのかを証明するために、住民票もしくは戸籍の附票を添付しなくてはなりません。
ところが、住民票(附票)は5年間しか保存されていないのです。
住所変更をしないままでいると、どれだけ面倒か。
少しややこしいのですが、実務的観点から具体例をあげます。
不動産を買った時は、A市に住んでいたけれど、その後B市、C市と引っ越して、現在はD市に住んでいる…という場合。
登記事項に記載されているA市から、D市に転居したことを証明しなくてはなりません。
まず現在の住所の証明としてD市の住民票が必要になります。
D市の住民票には、●年●月●日C市より転入…と、C市から引っ越してきたことがわかる記載があるはずです。
しかし、A市に住んでいた記載はありません。
そこで、B市の除票を取得する必要が出てきます。
B市の除票を見れば「○年○月○日A市より転入」「△年△月△日C市へ転出」の記載があるので、ここで初めて、A市からD市まで、住所の遍歴が繋がるわけです。
けれども、B市から引っ越しをして5年以上経っている場合。
住民票の保存期間を過ぎてしまっているので、住民票(除票)を取得することができません。
A市からD市まで、住所の繋がりを証明することができないのです。
ではどうするか。
戸籍の附票を取得してみます。
戸籍の附票は戸籍を基準に住所が記載されているので、住民票で住所が繋がらない場合でも使える可能性が高いです。
ただ、引っ越しの度に本籍を変更している方の場合は、附票の保存期間も過ぎていて、住所の証明ができないこともあります。
また、本籍を変更していなくても、平成6年以降、戸籍がコンピューター化されて新しくなっているので、それ以前の住所を証明したい場合も、附票は使えません。
ここまで手を尽くして住所の繋がりが証明できないなんて、滅多にないだろうと思われるかもしれませんが、実務経験上、結構な頻度でよくあります。
※住所の繋がりが証明できない場合は、登記済権利証や登記識別情報があれば、変更登記可能です。
手続きの煩雑さを踏まえて、住所変更の登記は早めにして頂くことをおすすめします。
…とここまで解説したところで、1つ朗報が。
総務省の有識者会議で、住民票の保存期間を5年から150年に伸長する報告書がまとめられたと、先日報道がありました。
来年の国会に改正案が提出されるそうです。
150年というと、戸籍と同じ期間、保管されることになります。
これは相続未了による所有者不明の不動産について、持ち主を見つけやすくするための施策なのですが、住所変更登記における「住民票が旧住所と繋がらない問題」にも貢献してくれるので、是非通って欲しいものです。
司法書士藤井事務所へお車でお越しの皆さまから、コインパーキングのお問い合わせがありましたので、近隣のコインパーキングからのご案内ページを公開いたしました。
詳しくは お車でお越しの方 をご覧ください。
費用のケーススタディを掲載しました。
ご不明な点はお気軽にお問い合わせください。
前回(そもそも不動産登記ってなに?)の続きです。
そもそも登記とは何か?から、登記事項証明書について解説しました。
今回は、具体的に例をあげて、登記の役割について。
Aさんが所有している土地aを、Bさんに売ったとします。
けれどもBさんは、登記は義務ではないし、登記費用が勿体無いと考え、登記はしませんでした。
Aさんは後日、Cさんに対しても、土地aを買わないかと持ちかけました。
Cさんは、所有者をAさんからCさんに変更するための登記(所有権移転登記)を申請して、無事に完了しました。
こういうケースの場合、Bさんは先に土地を買ったにも関わらず、Cさんに対して土地の所有権は自分にあると主張できません。
登記事項証明書の権利部甲区に、所有者として記載されているのは、Cさんの名前です。
Cさんは、登記をしたことで、Bさんに対して土地の所有を主張することができるのです。
では、相続登記の場合はどうなるか。
例えば亡くなった父親の自宅について、登記は義務ではありませんから、相続登記はしなかったとします。
登記しなくても、亡くなった父親の自宅に住むことはできます。
固定資産税は、相続登記をしてもしなくても、請求がくるので払わなければなりません。
相続税も同様です。
売買の例と違うのは、相続に関しては、原則的に登記しなくても第三者に対して権利を主張することができるのです。
但し、厄介なことに、相続人が自分一人でなければ、その自宅の土地・建物は相続人全員の共有状態になります。
例え自分一人で住んでいたとしても、自宅は自分のものではないわけです。
そして、時間がたてばたつほど、相続人間の関係も変化し、手続きが難しくなります。
よくご相談頂くのは、相続人の一人が亡くなって、その配偶者や子供と協議が進まない…という問題や、相続人が行方不明になってしまった・海外赴任していて印鑑証明書が発行できない、といったケースです。
そうして煩雑化した相続手続きを放置した結果、前回のブログの冒頭でお話ししたように「不動産の相続手続未了問題」が発生しているわけです。
所有者不明の土地総面積は、九州全体に匹敵するそうです。
さて、少し気になる点をご指摘させて頂ければと思いますが・・・
司法書士は不動産の売買において、決済の場に立ち会います。
事前に登記事項証明書を確認し、権利証(登記識別情報)や印鑑証明書といった必要書類を確認し、決済にGOを出す大事な役割です。
決済の場は色々なドラマがあるのですが、念願のマイホームを手に入れた買主さんは、嬉々として参加されます。
ご家族皆さんでいらっしゃる方もいて、そういった幸せそうなお姿が見れるのは、司法書士冥利につきます。
買主さんは進んで登記手続きをされるのです。
登記をしなくても、購入して引渡しを受ければ、マイホームに住むことは可能なのですけれどね。
揉めに揉めて、どうにも相続手続きが進まないケースもあるのは確かですが…
購入時にはあんなに積極的だったのに、どうして相続手続きには積極的になれないのか?ちょっと不思議に思ったりします。
登記の義務化の流れについて解説したブログ
の記事も参考になるかと思います。
ブログテーマ → 相続事例 も参照頂くのも良いかもしれません。
多くの事例に触れると今後起き得る問題点や、その解決策が見えやすくなります。
購入時以外も都度都度、積極的に登記をしていただけると良いですね。
相続の手続き業務のご案内ページ もご覧いただければと思います。
先日、不動産の相続手続未了問題についての記事が目に留まりました。
その中で、少し気になったワードがあります。
「相続登記は義務ではありません」
司法書士事務所としては看過できない言葉ですが、事実です。
表示登記以外の登記は、義務ではありません。
「なんだ!義務じゃないんだ!」
「義務じゃないなら、費用をかけて相続登記なんかしないわ!」
…となるのが、人情の常ですよね。
義務でないのに、なぜ、不動産を登記するのか。
まずは、基本的に、登記とは何かをおさらいしたいと思います。
不動産登記とは、不動産の「物理的現況」と「権利関係」を公示するものです。
登記事項証明書をご覧頂くとわかりやすいです。
債務整理案件は、依頼者それぞれ千差万別です。
借入先ごとに対応も異なりますから、状況に合わせて業務にあたる必要があります。
そんな債務整理のご相談において、司法書士事務所としても頭の痛い債権者がいます。
…と書くと、大抵の方は闇金を想像されるのではないでしょうか。
実は、国や地方自治体なんです。
つまり、税金の滞納です。
(闇金からの借り入れについては、警察へのご相談をおすすめします)
一般的な債権者…
カード会社や消費者金融等は、口座引落であったりATM入金であったりと、支払い方法は異なりますが、毎月返済日が決まっています。
毎月の返済なので、一定の収入がある方にとっては家計プランに組み込みやすく、リボ払いであれば返済をルーチン化することも可能です。
カード会社等は、返済日に返済がないと、一週間程で電話がかかってきます。
それでも返済がなければ、納付書が郵送で届きます。
返済するまで、日にちをおいて、何回も電話がかかってきて、何通も通知が届きます。
返済をしていないという後ろめたさに加えて、債権者からの頻繁な連絡…早く返済しなくては!という気になりますよね。
対して、税金。
市県民税や所得税は、給与から天引きされている方もいると思いますが、自営業の方をはじめ、納付書で支払っている方も多いです。
だいたい納期が半期・四半期毎に決まっています。
毎月の返済ではないので、年単位で収支計画を立てている方でないと、見逃しがちです。
そして、年に1度届く納付書…納期まで余裕があるからと、しまい込んで忘れてしまったりもします。
税金の支払いは、ついついスルーしがちな要素がある上に、熱心な取立ての連絡もありません。
電話がかかってくることは、稀ではないでしょうか。
大抵、納期を過ぎてひと月程で「督促状」が郵送で届きます。
「ああ、そう言えば税金を払わなきゃいけなかった!でも今月は余裕がないし…」
と、また後回し。
一般債権者と比べると、督促の頻度は高くありません。
そうして支払わずにいると、差し押さえ通知が届きます。
差し押さえ通知がきた時点で、多くの方がこれは大変!と慌てて役所に連絡を入れます。
役所は、相談をすれば分割での納付を比較的柔軟に受け入れてくれます。
但し、感覚的に、一回当たりの支払い金額が大変高額です。
例えば、給与が手取りで20万程度しかない方でも、月々5万円ずつ納付するように言われるのです。
加えて、14.6%の遅延金がかかります。
一般債権者の任意整理では、こんなに厳しい返済を迫られることはありません。
収入から取れるだけ取ろうと考えれば、生活が立ち行かなくなります。
生活が立ち行かなくなった債務者は、最終的に破産するしかありません。
破産して免責許可決定が出れば、貸付金の回収は不可能です。
任意整理で月々無理のない返済プランで和解できた方が、貸付金の回収ができるのでメリットが大きいのです。
では、役所はどうして高額な分割返済を求めてくるのか。
税金については、破産しても支払い義務は残るのです。
意地の悪い言い方をすれば、役所にとっては破産されても痛くないので、生活費や一般債権者への返済について考慮する必要がないと言えます。
今は税金を例えにお話ししましたが、国民健康保険料や国民年金についても同様です。
債務整理のご相談にいらっしゃる方の収支を伺うと、税金滞納分の返済で家計が圧迫されているケースが非常に多いです。
任意整理をご希望の方でも、税金の分割返済を考慮すると、一般債権者に返済する余裕が全くありません。
もう一度、役所に月々の返済金額の減額を交渉してみて下さいとお願いするのですが、断られてしまうようです。
一般債権者に返済する余裕がないということは、もう破産するしかありません。
そして、破産しても税金滞納分は支払うしかありません。
税金の滞納があるかないか、というのは、債務整理の方針決定において重要な判断材料になるのです。
※勿論、借り入れ状況や一般債権者によって、過払い金の回収や元本減額が見込める可能性もあるので、税金の滞納がある=破産ではありません。ご不安な方は、ご相談下さい。
遺言書作成のすすめと共に、相続手続きはお早めに…と何度かこのブログで発信させて頂きました。
今回は、遺言書が存在するにも関わらず手続きを先延ばしにしていたら、遺言執行者が亡くなってしまった事例をご紹介したいと思います。
相続手続きのご依頼にいらっしゃったAさんは、かなりのご高齢でした。
亡くなったのは、Aさんのお兄様。
生涯独身で、お子様がいらっしゃらないため、法定相続人はAさん・Aさん甥・Aさん弟です。
相続関係を図に表すと、このようになります。
登記申請をする際、かかる税金が【登録免許税】です。
不動産売買において、建物に関する登記の登録免許税を軽減できるのが【住宅用家屋証明書】です。
まず、住宅用家屋証明書を登記申請時に添付すると、どの程度の節税になるかを。
不動産を購入する場合、キャッシュ一括で代金を支払うことよりも、住宅ローンを組んで不動産に抵当権を設定することが多いと思います。
①所有権移転登記(不動産の名義を買主に変更する登記)
②抵当権設定登記(不動産に金融機関の抵当権を設定する登記)
の登記が必要となります。
それぞれの登録免許税は
①所有権移転登記(建物のみ)…不動産の評価額×1000分の20
②抵当権設定…債権額×1000分の4
住宅用家屋証明書を添付した場合の登録免許税は
①所有権移転登記(建物のみ)…不動産評価額×1000分の3
②抵当権設定…債権額×1000分の1
となります。
例えば、2500万円の住宅ローンを設定した場合、住宅用家屋証明書がある場合とない場合では、7万5000円も節税になります。
積極的に利用したい制度です。
けれども、住宅用家屋証明書の利用には制限もあります。
まず、買主が【個人】であり、居住用に購入すること。
なので、会社名義であったり、投資用物件には使用できません。
住宅用家屋証明書の取得の際には、基本的に当該物件に住民票を移して頂くことになります。
また、床面積が50㎡以上であること。
マンションなどの場合は、専有部分の床面積が50㎡以上であること。
この2点が大前提となります。
新築物件の場合は、建売住宅だけでなく、保存登記にも住宅用家屋証明書の減税が利用できます。
保存登記の場合、登録免許税は不動産の評価額×1000分の4⇒1000分の1.5に節税されます。
また、築年数等の要件を満たしていれば、中古住宅の売買でも利用可能です。
住宅購入の際には、こういった減税制度も是非覚えておいて下さい。
相続案件の受託は、どなたかが亡くなった…という事実が前提です。
相続人は身近な人が亡くなった喪失感の中で、日々色々な手続きに奔走されるわけで、司法書士はその一部をお手伝いさせて頂くことになります。
相続人に未成年者がいるケース…とりわけご両親のいずれかを亡くされた場合の相続手続きは、本当に居たたまれない気持ちになります。
未成年者において、本来ならば親権者(父親か母親)がその代理をし、法律行為を行います。
しかし、父や母が、未成年者である子供との間で、互いに利益が相反する場合は、子供に「特別代理人」を選任する必要があります。
例えば、父が亡くなり、母と未成年者の子供で遺産分割協議を要する場合。
母は相続人の立場でありながら、子供の親権者として分割協議に参加するとなると、実質、母一人で好きに遺産分割を行うことが可能です。
こういったことを避けるために、特別代理人を選任し、未成年者の子供の代理人として、母と遺産分割協議を行います。
そういうわけで、相続人に未成年者がいる案件では、まず特別代理人の候補者を探して頂くことになります。
一般的には、おじ・おば・祖父母にお願いすることが多いです。
特別代理人なんて、気が重い…と思われる方もいるかもしれませんが、基本的には「遺産分割協議のため」に選任するので、相続手続きが終わりさえすれば、特別代理人の任務は終了します。
また、裁判所で尋問されるようなことはないので、ご安心下さい。
引き受けて下さる方がいない場合には、弁護士や司法書士といった専門家に依頼することも可能です。
特別代理人候補者が見付かったら、未成年者の住所地を管轄している家庭裁判所に、特別代理人選任申立を行います。
申立には、戸籍等の相続関係資料の他、相続財産に関する資料と、遺産分割協議書案を添付します。
申立から概ね1ヵ月程で、特別代理人が選任されますので、その後、正式な遺産分割協議書を作成して、具体的な相続手続きに入ります。
さて、特別代理人選任申立で問題になってくるのが「遺産分割協議書案」に裁判所がNOと言ってくるケースです。
特別代理人が必要な相続では、多くの場合、主な相続財産は不動産のみで、父または母である親が単独で相続を望みます。
以前のブログ(法定相続分で分けなきゃダメなの?~相続財産が不動産だけの場合~)でご紹介したように、相続財産が不動産だけのケースでは、相続人全員の共有にする方がデメリットが大きいのです。
しかし裁判所が、それでは子供の利益が守られていない!と判断することがあるのです。
配偶者に先立たれ、残された配偶者としては、これから一人で子供を養育しなければならないし、未成年者と不動産を共有したところで、管理維持は実質親一人で行うわけです。
ゆくゆくは、不動産を担保に学資ローンを組んだり、売却することもあるでしょう。
「子供の利益」というのであれば、もう少し柔軟に考えて欲しいものです。
弊所は川崎市にありますので、ご依頼者も川崎市在住の方が多いです。
管轄は横浜家庭裁判所川崎支部になりますが、当該裁判所では、比較的柔軟に対応して下さることが多い印象です。
預貯金等の財産が多い場合は綿密な計算が必要ですが、財産が不動産しかない場合、親の単独相続でも、遺産分割協議書案をはねられたことはありませんでした。
一方、他の家庭裁判所では、同様のケースでもストップがかかることが何度もあり、協議書案を慎重に作成する必要があります。
特別代理人選任や協議書の内容については、個々の案件で異なってきますので、是非一度専門家にご相談の上、手続されることをおすすめします。
尚、相続手続きにおいて、特別代理人の選任が必要なのは、遺産分割協議をする場合であって、法定相続分で相続する場合には必要ありません。
その場合は、親権者である父・母が、未成年の子供の代理人として相続手続きが可能です。
ブログテーマ → 相続
→ 相続の事例
各ブログテーマも事例などを交えているので、わかりやすいかもしれません。
業務のご案内 → 相続手続きについて もよければご覧ください。
遺言書の作成について、以前ブログで触れました。(記事は「遺言書を書きたい」のページへ)
遺言書には「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の三種類があるとお話ししましたが、実はこれらの【普通の方式】の遺言とは別に【特別の方式】の遺言があるのです。
今回は【特別の方式】の遺言について、解説したいと思います。
本来であれば、精神的・体力的ゆとりがあるうちに、遺言書を作成しておくことがベストです。
けれども、人間いつ何時、どういった状況の変化があるかわかりません。
病気であることが判明し、余命宣告を受けたとしても、まだ数日の猶予があれば、急ぎで公証人の先生に出張して頂いて、病室で公正証書遺言を作成することも、不可能ではありません。
また、自ら筆を取ることができて、尚かつ法的に有効な文面が作成できるのであれば、自筆証書遺言を遺すことはできるでしょう。
しかし、公正証書遺言や自筆証書遺言を遺すことができないような場合。
例えば、病気や突然の事故による大怪我などで、死期が差し迫っている状態において遺言を遺したい場合には、特別の方式の遺言【危急時遺言】を遺すことができます。
危急時遺言は、普通の遺言と全く異なった過程で作成されます。
まず、利害関係人ではない証人が3名必要です。
配偶者や子供といった家族は、基本的に相続人となる立場ですから、利害関係人です。証人にはなれません。
1.遺言者は、証人3名の立会いのもと、証人のうち1名に遺言の趣旨を伝えます。
2.遺言内容を把握した証人が、遺言の内容を書面にまとめます。
3.遺言内容をまとめた書面を、遺言者及び証人全員に読み聞かせ、遺言者の意思を反映したもので間違いないか、確認します。
4.証人3名が文書に署名・押印します。
5.作成後20日以内に、家庭裁判所による確認をもらいます。
※作成過程は以上のとおりですが、遺言者が亡くなった場合は、更に裁判所による検認が必要です。
危急時遺言の作成は、特殊な状況下、限られた時間内で行うことになります。
緊急で利害関係人以外の証人を3名手配するのも、中々難しいことです。
加えて、法的に有効な書面でなければ意味がありませんから、かなり慎重を期す必要があります。
簡単に作成できるものではないということを、まずご理解頂きたいと思います。
その上で、繰り返しになりますが、前もって万全の状態で遺言書を作成することが大事です。
※【特別の方式】の遺言は「危急時遺言」の他、「伝染病隔離者の遺言」「在船者の遺言」「船舶遭難者の遺言」などがあります。
いずれも読んで字のごとく、特殊な状況化における遺言の作成方法です。
これらの状況においては、遺言者のすぐ近くにいる方が、緊急で立会い、証人となるしか術がありません。
もしご質問があれば、お気軽にお問合せ下さい。
新型コロナウイルスに罹患したとき、何とか遺言を残したい・・
のブログを更新しました。
ブログテーマ → 遺言 についてもご参照いただければと思います。
前回のブログ 不動産の権利証のお話 に引き続き、不動産の権利証にまつわるお話をしたいと思います。
前回、権利証は大事に保管して下さいと結びましたが・・・
例えば、家が火事になった時。
権利証がー!と、燃え盛る家に危険も顧みず突入する・・・みたいなシーンをドラマで見た記憶ありませんか?
そんな必要、全くありません!
命が一番大事です。
わざわざ取りに戻ってはいけません。
「それはそうだろうけど、でも権利証は貴重品だし、ないと困るでしょ」
と思われた方。
権利証はなくても、何とかなります。
前置きが長くなりましたが、権利証がない場合の手続きについて、今回はご説明します。
まず、権利証は、汚れたり・紛失しても再発行はできません。
盗難されても同様です。
盗難された場合
1.勝手に不動産を売り払われてしまうのではないか
2.権利証をタテに立ち退きを迫られるのでないか
3.不動産を担保に入れられて、莫大な借金を負わされるんじゃないか
等々が、ドラマで出てきそうな不安要素でしょうか・笑
まず、1と3についてですが、不動産の売却や抵当権設定は、権利証だけあっても不可能です。
所有権移転登記や抵当権設定登記をする際には、一般的に司法書士が登記申請を行います。
司法書士はたいてい、買主や金融機関が指定しますから、その時点で第三者の介入があります。
司法書士は登記にあたって、公的身分証を確認した上で、ご本人確認を必ず行います。
ご実印と印鑑証明書も必要です。
ごく稀に、権利証やら免許証まで偽造した偽売主による詐欺事件はありますが、権利証が盗難された際に、不正登記防止の申出を法務局にしておけば、その権利証が利用された場合、司法書士や法務局の登記官が気付くはずです。
必ず届出をしましょう。
2については、権利証はただの紙っぺらです。(大事な紙っぺらですが)
紙っぺらだけ持っていても、不動産に対して何の権利も主張できません。
所有権の登記があって、初めて権利を主張できます。
先に述べたとおり、所有権の移転登記にはハードルがありますから、容易ではありません。
ですので、権利証を盗難された場合でも、不動産を失ってしまうリスクは低いです。
登記識別情報の場合は、パスワードの「失効」ができるので、失効しておけば安心です。
では、権利証がない場合に困ること。
やはり売却したい時・不動産を担保に借入をしたい時です。
(相続登記でも登記済証が必要なケースはありますが、通常は不要です。)
その際には、具体的に3つの対処法があります。
■事前通知
登記申請をした法務局から、申請に間違いがないか、本人限定受取郵便で通知が届きます。
本人限定受取郵便は、書留等と違って、在宅の家族が受け取ることはできません。
申請に間違いがなければ、通知書に、登記申請時に利用した印鑑と同じ印鑑を押印し、二週間以内に返送します。
(司法書士としては、二週間以内に確実に返送して貰わないと登記が完了しないので、不安要素いっぱいの制度です。法務局は1日遅れても甘くみてはくれません。)
■本人確認情報
司法書士が「本人確認情報」を作成して、職印を押印し、本職の印鑑証明書を添えて法務局に提出をします。
実際に面談をして、登記名義人に間違いがないかを確認します。
(事前通知と違って、司法書士の仕事次第で登記は完了しますが、かなりの重責です。)
■公証人による本人確認
これはあまり一般的ではなく、弊所でも行ったことがありません。
公証役場に出向き、公証人に本人確認をして貰う方法です。
公証人による本人確認を行った上で、公証人の面前で書面に署名押印をします。
権利証がない場合、司法書士としては重責ですが、本人確認情報を提出します。
依頼者と司法書士間で完結できますから、依頼者の負担が少ないことと、登記を確実に完了できるからです。
というわけで、権利証がなくても何とかなるのです。
死守する必要はありません。
けれど、もし登記で権利証が必要な場合・・・司法書士としては、できれば権利証があると助かります・笑
なので、死守する必要はありませんが、大事に保管して紛失しないように、できればお願い致します。
不動産の登記についての費用は → 費用一覧
の欄を参照ください。
ブログテーマ → 相続
→ 相続の事例
なども参考になればと思います。
司法書士が扱う不動産登記。
登記と言われてもピンとこない方でも、「不動産の権利証」と聞けば何となくイメージがわくと思います。
登記の目的にもよりますが、登記申請後、権利証をお客様に無事お渡しするまでが、不動産登記における司法書士の役目です。
「不動産の権利証」は、この十年で劇的に変化しています。
どのように変わったのか、今はどうなっているのかを、今回の記事で画像も合わせてご紹介します。
まず、一般の方がイメージされる権利証のビジュアルは、こんな感じでしょうか。
「法定相続情報証明制度」
司法書士や、相続に携わる業種の中で、話題となりました。
ニュースで最初に流れたのが2016年7月で、2017年5月29日から運用が始まりました。
既に報道でご存知の方もいらっしゃると思いますが、改めて制度のご説明を。
相続手続きにおいて
1.亡くなった人がいる
2.亡くなった人の相続人である
という証明が、基本中の基本として必要となります。
戸籍謄本が、その証明となります。
法定相続情報証明制度は、相続人全員分の現在の戸籍と、亡くなった人の出生から死亡までの戸籍を、法定相続情報一覧図及び申出書とともに法務局へ提出すると、公的な証明書を発行してくれる・・・というものです。
法務局発行の証明書があれば、戸籍謄本の原本等がなくても、金融機関等の相続手続きが可能になります。
実物はこちら
「遺言書を書きたい」のブログで、少し公正証書遺言について触れました。
公正証書遺言の効力は、既にご紹介しましたが、どのような過程で作成されるのか、詳しくお話します。
まずは、どのような遺言の内容にするのかを考えて頂くのが第一です。
「どうすればいいかしら…」とご相談を受ける事もあるのですが(笑)
例えば、遺留分や贈与税等考慮する必要がある場合は、その旨アドバイスをさせて頂くこともあります。
けれども、基本的には、どんな財産があって、誰にどれを承継して欲しいのか、を遺言するご本人に決めて頂かなくてはなりません。
具体的には、以下の項目について遺言を遺すことができます。
1.財産について
これは基本中の基本ですね。
例えば、法定相続分以外の配分で相続させたい場合や、相続人以外の方に遺贈したい場合、具体的に「どの財産を」「誰に」「どのように」遺すのかを明記します。
先に対応可能かの確認が必要ですが、希望の団体への寄付も可能です。
(自筆証書遺言の場合、この部分が明確でなく、無効となるケースが多いです)
「財産」と言ってしまうとぱっと思いつかないかもしれませんが、お墓等の祭祀に関する承継者も指定できます。
2.身分関係について
これはあまりないケースですが、例えば子の認知などが可能です。
生前認知しなかった子を、遺言書で認知するとしても、法的に有効となります。
他には、残された子の事を考えて、未成年後見人の指定も可能です。
3.遺言執行者の指定
遺言書を遺しても、自分の財産が自動的に指定通りに承継されるわけではありません。
少なくとも、遺言書に基づいて相続手続きをする必要があります。
ですが、その権利のある相続人が、遺言書通りに手続きしてくれるとは限りません。
そこで、きちんと遺言を執行してくれる人(遺言執行者)を指定しておけば、安心です。
遺言執行者は、相続人のうちの誰かを指定することもできますし、司法書士といった第三者を指定することも可能です。
相続人を遺言執行者にした場合、当然相続人は相続手続きを専門家(弁護士や司法書士)に依頼することになります。
遺言書を作成する段階で専門家を指定しておく事で、手続きをスムーズに行う事ができます。
4.付言
上記は法律的に効力のある遺言内容ですが、法的に無効なご希望もあるかと思います。
例えば、本当は妻・息子・娘が相続人であるのに、全て妻に相続させるような遺言の場合。
息子と娘が遺留分請求を行わないで欲しい…といった「お願い」は、付言として記すことができます。
また、葬儀についての希望も、法的拘束力はありませんが、記載は可能です。
これらは法的に効力が認められない、あくまでお願いですが、ご自身の気持ちを記すことは決して無駄ではありません。
公正証書遺言はきちんとした書面なので、プライベートな事は書けないと誤解もあるようですが、ご家族へのメッセージを付言で残すことも可能です。
(ホロリとしてしまう付言を拝見する機会が度々あり、ご家族への愛を感じます。)
さて、遺言の内容が決まったら、それを元に草案を作成します。
遺言者ご本人のご希望に沿った形で、法的にきちんと効力のあるものを作成します。
平行して、必要書類(印鑑証明書・戸籍謄本や固定資産税の評価証明書)を収集して頂きます。
(これらはご依頼頂ければ、弊所でも手配可能です。)
草案に問題がなければ、必要書類と共に公証役場に遺言書作成の依頼をします。
公証役場でチェック後、公証人への報酬等見積もりが出ます。
合わせて、公証人の先生と、遺言者・証人(2名)のスケジュール調整を行います。
証人は、弊所でも公証役場でも手配が可能です。
親族を証人に考えている方は、欠格事由に触れていないか考慮する必要があるので、事前にお打ち合わせが必要です。
【相続する?相続放棄する?】のブログで最後に出てきた「遺留分」について、今日はお話したいと思います。
遺留分とは、被相続人の兄弟姉妹以外の相続人に認められた、相続財産の割合です。
分かりやすく、家政婦は見た!的な例え話をすると・・・
夫・妻・子供の三人家族がいました。
三人は夫名義の自宅で仲良く暮らしていましたが、ある日夫が急死してしまいました。
そこに現れたのが、夫の愛人!
夫が生前作成した公正証書遺言を手に「彼は、財産を全て私に遺贈すると遺言しています!この家も預貯金も、財産全て私が頂きます!」と乗り込んできました。
妻と子は、着の身着のまま追い出されてしまうのか・・・!